運わるく、帰宅時間に雨に降られた。
自転車で15分ほどの道のりを走り我が家に辿り着く頃には
どしゃ降りの雨はカッパの縫い目から染み込んで肩口を濡らしていた。
郵便受けを覗くと、こちらも雨にやられた封筒が底に張り付いていた。
郵便のお仕事は、大変だ。
おーい、タオルを取っておくれよー
と、玄関で息子に呼びかけたものの、返事がない。耳をすますと、浴室から鼻歌に紛れて息子の妄想サッカー実況が漏れ聞こえてきた。
…再三ブラジルに攻め込まれるもGK権田がナイスセーブをしている…
場面らしい。
こちらは脱力。いろんな意味で、いろいろ。
…手にした封筒の一つに
所属している不登校親の会からの会報があった。
手書きコピーの会報誌は温かみがあり、楽しみであり、何より、わたくしの御守りである。
ポタリポタリと雫が垂れる封書を注意深く開き拝読する。
そして、ああ、そうだよね、と腑に落ちる。
泰平だ。
四年前、息子不登校初期には考えられなかった今日が広がっていく。
認める。
手も口も出さない。
目を閉じてα波を描くように麒麟を想う。
ん?麒麟?
わたくしは冷蔵庫から麒麟の絵が付いている缶チューハイを取り出し自室に入った…事までは覚えているのだが、あとの記憶がバッサリ途切れている。
息子はキックオフに間に合うように風呂から上がり、
ジャガイモをレンチンして夕食とし、
テレビの前でサッカー観戦した様子だ。
ブラジルを相手にGK権田は大活躍であったことだろう。
あとで息子に聞いてみようと思う。