長坂インターを下りて国道をスキー場に向かう道すがら、
車の流れが途切れず
あちらへ横断できず
こちら側で農具を持ったまま立ち尽くす翁を見て見ぬふりをして通り過ぎた、
あの光景がフラッシュバックした。
・・・今から30年も前の光景だ。
それが今朝、実体験とともに呼び起こされたのだった。
いつもと同じ朝のはずだった。
止まれで右折待ちするわたくしの愛車は右も左もトラックに視界を遮られ
待てど暮らせど流れに出ていくことができない!
トラックの後ろからコバエのように車がスピードを上げて湧き出てくるし!
そのうちトラックが左折でこちらの道へ入ってこようと方向指示をチカらせてきた。
リニア立坑工事関連車両であろうか。デカい!
しかし、わたくしの愛車のツラが邪魔で曲がり切れない。
バックしようとしたが、すでにわたくしの後ろには数台の車がピタリと着いており💦
仕方なくわたくしは左折した・・・。
所用を済ませ、帰路に着く。
そして先ほどの道に至る。
昨年、JR東海の立ち退き要請に応じて2家族がこの地を離れた。
2軒の高級分譲住宅は無残に取り壊され、更地になった。
その場所は先ほどまで無機質な壁で覆われていたが、
いつの間にかその中にいくつかのコンテナハウスが設置されていた。
ははーん。
さては、わたくしが道を譲ったトラックが運び入れたのは、このコンテナハウスに違いない。
対面の梅林も重機で伐採伐根が既に完了しており
咲き始めたばかりの梅の枝が無造作に積まれていた。
警備の人のよさそうなお兄ちゃんがクルクルと車の流れを捌き、
作業は滞りなく進められている。
人の土地のことである。
感傷的になる必要は全くないのであるが・・・。
先月、近隣住民に対して行われたJR東海側の説明会は丸く収まったとは言えない形で終了。
その後、住民側の要望や改善箇所についての報告は何もない。
そしてまさかの祝日に工事開始とは・・・。
水道工事だって事前に告知プリントがポスティングされるし、
その旨立て看板くらいは立てるものだろうに・・・。
明日から、近隣の小さな小学生たちの登校の安全は守られるのだろうか?
とても不安だ。
リニア事業は国策だってことくらいはわかっている。
いくら重ねても住民の要望なんてもんは、〇ソほどもお上には薫らないだろう。
そしてわたくしたちの町に出来るのは立坑であり、駅ではない。
完成までの約10年、残土を排出し続けるための
リニア開業以降に至っては緊急時の非常口。
地域にとってのうま味は、なんもない。
いや、誰かの懐はぬくもっているのか?などと考え出すと、まったくもってつまらない!
現実問題として、わたくしが暮らしてきた町が
これまでと同じには暮らしていけなくなったのは確かだ。
危険も変化も不便も当然起こるのを承知で
県が、市が、各社が許可したのだなぁ。
工事の早い段階で
ナウマンゾウか、なんちゃら原人のミイラが出土しちゃえばいいのになぁ。
そんなことを言ったら
「JRは出土物をゴッソリまるごと余所に移動して工期を守るよ、国策だからね!」
と、息子が冷静に答えた。
さもありなん。。。