わたくしの実母は、一年ほど前から趣味の庭いじりの日常をブログに綴ってきた。
旗竿地にある実家は、建物の奥に庭があり、外部からは中の様子を見ることが出来ない。
一面芝だった庭は、わたくしたち子供が巣立ってから母の手により少しずつ季節を映し出す草花のガーデンへと形を変えてきた。
父が病に倒れ在宅介護になってからのこの10年は特に力が入り、
家にベタ付きで居なければならないストレスをぶつけるかのようにガーデン造りに入魂してきたのであろう。
母の手にかかれば、斑入りの1ポットのアジュガは翌年、紫陽花の下を豊かに覆った。
劣化して割れてしまった敷石を除け、イワダレソウを丁寧に埋め込むと、父の車椅子に踏みつけられても負けない、安全で強靭なオーバーコートになった。
植木屋の片隅で瀕死になっていたメラレウカを格安でゲットし、土を入れ替えたヤツは今、残暑をチラチラと遮るほどの枝ぶりとなっている。
種が飛び散ったのかオダマキやユリは、毎年の約束のように何処かに花を咲かせる。
時期を過ぎた花々は摘まれ、ブリキのバケツに張られた水面で半日延命する。
地味で、ちっさい、旗竿地奥の庭いじりをブログにしてみたら
思いがけず観てくださる方々に恵まれた。
わたくしも時々ブログを覗いてみてはいたが、お星様⭐️(スターね💦)を付けることはしなかった。
今日の母の元気を遠隔地から確認するポットみたいに、お、頑張ってるな!と、読んで安心していたのだが。
先日、母から突然のブログ休載宣言が💦
え?なんで?楽しみにしてたのに、とわたくし。
ガッカリしたの。と、母。
ブログに対して家族から何の音沙汰もないことや、お星様⭐️(スターだね💦)の数に知らず知らず気持ちが翻弄されていることに疲れちゃった。と。
母のブログに夫の介護や孫の不登校の話題が出てくることはない。
庭いじりは、母の日常の一部であり、全てではない。
苦いことだらけの日々から毒気を抜いて残った、ナンボかの甘美な時間だ。
唯一お他所の方にお話し出来る,どこから見ても健全な話題。
介護も尿臭も悔しさも怒りも染み出さない時間を楽しんでいるのよ、と、
母はもっと沢山の人に発信したくなったのだろう。
いいよ!ママっ!それこそ自己承認欲求ってやつだよ。
ブログの書き手としては、その域に達したということだと思う。
ヒミツの花園だったお庭を、沢山の人に知って貰って、とても励みになったんだよね!
だから続けてほしいなぁ。