なんとなく片づけられんかった息子の部屋。
あの日、彼が出て行った時のまま手付かずで4か月弱が過ぎた。
希望に満ちた進学であったはずだったのだがコロナに翻弄されるようにクルクルと状況が変わっていった。
何が何でも高校を中退し帰郷したいのだという息子。
自ら望んで進んだ道の価値を忘れてしまったかのようだ。
・・・ならば自分の力でその算段を整え完了させよ、と息子に命じた。
今ほどの環境は次には無いと信じているからこそ、退学に力を貸すつもりにはなれないのだ。
中学2年間の不登校に親としてどっぷり浸かり、義務を果たしたと自負している。・・・足らんかったから今、このような結果を招いているんかもしれんが。
不登校明けを心から喜んでくれた人々の顔が浮かぶ。
志なかば、どころか何も始まっていない状況で逃げ帰ったか、と夫や親戚一同の評価が下れば、わたくしは本能的に息子を守ろうと言葉を尽くすだろう。そしてダメ母ぶりがますます際立ち【この母あってのこの子】と息子の評価が落ちていくのだ・・・。
なんだろ?本能って???
人の評価は関係ない。わかっちゃいるのだが悔しいのだ。
息子の魂を知ってもらいたいのだ!理解に至らなくても・・・。
そのためにはまず、わたくしが知らなくてはならんけん。
息子はなぜに?そこまで頑ななのか、電話やLINEでは真相が伝わってこない。
なので週末、学校に三者面談をしに行く。
各地大雨の災害。支援の手もコロナで遠慮がちなこの時期に・・・。
GO TO?とんでもないっ!!!
気楽な旅行者として県マタギができたなら、幸せだったのに・・・。
しかし、行かねばならぬ。この何とも言えない重だるさよ・・・。
このままでは免疫力が下がってしまいそう!
よしっ!
考え方を変えよぉおおおおっ!
人生は一度きり。そして短いっ!正直に生き、高潔であれ
すべてを経験せよ。美も恐怖も。
生き続けよ。絶望が最後ではない。
そして早世の画家村上槐多の言葉。
ためらふな
恥じるな まっすぐにゆけ
汝のガランスのチューブをとつて
汝のパレットに直角に突き出し
まつすぐにしぼれ
そのガランスをまつすぐに塗れ
生のみに活々と塗れ
一本のガランスをつくせよ
そうだ。そう、そう。これは息子の人生。
わたくしがどうこうできるものではない。
出会った言葉を御守りに
息子の物語の第二章の開幕に駆けつけ見届けなくてはならん。