往復2000キロの距離でした。
息子を進学先の学内寮に無事リリースしてきました。
このような状況のなかで、もしかしたら入学式の後、
帰宅命令が出るかもしれないと思い、覚悟も準備も八分目くらいの状況で臨みました。
しかし、無事に息子を新しい環境の中にリリースすることができたのでした。
息子はわたくしが向けるカメラに一切収まろうとしませんでした。
ので、不登校歴2年の息子の再スタートの日を
画像で記す機会は失われたのでした。
カエルが囁くように鳴いている、桜が満開の日、
田んぼにはどんどん引水していて
ムスカリの紫、
菜の花のレモン色、
柔らかな萌黄色に染め分けられる山々、
マスクで口元を覆った息子の顔に眉間の一直線のくぼみは村山槐多の絵のようで。
相変わらず、お互い一言もなく手を振って別れてきました。
今日はスーパームーンで
あっちからデカい月が上がると同時に
バックミラーでは沈んだはずのガランス色の太陽が四国の山並みの中あえぐように浮き沈みしていて、まるでわたくしの気持ちのようにまとわりついてくるのでした。
走って走って走って。
途中SAの売店も閉店していて、
不要不急でなければココまでは来ないよ、と気持ちが焦りました。
お土産に購入した玉ねぎと蜜柑がわたくしの乱暴なハンドル操作に耐えられず、車の後部座席でゴロゴロと右往左往していました。
不要不急のお出掛けはしてはいけない今、
コロナ疎開ということばで後ろ指さされそうなこの最悪のタイミングに!
それでも不登校だった息子が見つけた縁を無事につなぐことができたという安心感はありました。
先ほどがらんどうの自宅に帰り着きまして、
テーブルの上に残された息子の飲みさしのマグカップを目にしました。
カエルのイラストが描かれたマグカップです。
なんだか泣きたくなり、これはどういう気持ちか整理をつけるために
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達成感ではなさそうです。
虚無感だけでもなさそうです。
少しだけ泣いてみようかなぁと思いました。