不登校息子+親介護+単身赴任夫=思秋期なあたくし。

怒涛のようにやってきた不登校と介護と夫の単身赴任の荒波を、更年期のあたくしがサーフィンする日々の記録です。

からす たろう、を借りてきた。磯部先生とジャニー喜多川氏って似てるんじゃないの?と思い、なんだかとても読みたくなったから。

 

からすたろう

からすたろう

 

 我が家のセキセイインコは代々「タロウ」と名付けられる。

現在のタロウは三代目で、実は♀だけどタロウ。

一代目は幼鳥から育て、やっと手乗りになった頃、

嵐の日に窓から逃げて行ってしまった。7年前の夏のことだ。

50枚のビラを作りポスティング。

警察署に遺失物届を出し、毎日保護鳥情報を検索した。

鳥かごを抱えて近所を訪ね歩く息子の後を苦しい気持ちで付いて歩いた。

 

呼んでも叫んでもひたすら大空を目指して高く高く飛び去るタロウの姿が脳裏から離れない。情けない母子は夜になるとタロウを思って泣いて暮らした。

 

そして季節は廻り、その年のクリスマスイブの前日、

動物愛護センターの情報にタロウと同じ色のセキセイインコの情報を見つけた。

問い合わせてみると、ケガをしており、愛護団体に保護されているという。

車で40分ほどのその場所で出会ったセキセイインコは、明らかにタロウとは違ったのだけれども、息子は涙ながらに地団駄を踏んで「ぜったいタロウだ」と言い張った。

どこから逃げてきてしまったのであろうか? 飼い主のもとを離れ怖い思いをしたのであろう、その黄色いセキセイインコは右の眼から頬にかけてカサブタで覆われていた。差し出した指に怯え、小さな体を震わせている。

団体代表が「しあわせにしてあげてね」と息子の頭に手を置いて微笑んだ。

 

息子の奮闘と目薬の効果があり、その後二代目タロウは日ごと元気になった。

そして3年後のクリスマスに天寿を全うした。

 

もう、鳥は飼わないと決めていたが、いつのまにか三代目タロウが家族に加わり、

今では不登校息子の良き相棒になっている。

一日の半分を息子の坊主頭の上で過ごすタロウである。

黄色い鳥を頭に乗せた不登校児の図柄は何とも平和で、目にするたびに脱力してしまうのだが・・・。

 

さて、『からす たろう』である。

我が家の歴代タロウの名前は、(o|o)ウルトラマンタロウに由来する。

命名者は息子。なぜなら、セキセイインコは飛び立つから。

歌でそう言っているでしょ?と。なかなかのセンスだとわたくしは感じ、

いつか君のそんな素敵なセンスを認めてくれるような先生に出会えたらいいな!と願ってきた。

そう。ちょっと風変わりという評価が固定してしまっていた『からす たろう』を放置せず、彼の魅力を引き出し、世間との接点を見出してくれた一人の教師、磯部先生のような・・・。

大人になりかけた少年の背を力強く押し出して育てる、といった意味でジャニー喜多川もまた教師のような役割を果たしたのではないだろうか・・・、とは所属タレントたちの追悼コメントを目にして感じたこと。

心のやわらかい思春期に、信頼できる大人に出会えたことは人生にとって宝だと思う。

 

そういえば、はやぶさ2も地球に加速スイングバイしてもらっていた。

大きな変化を伴う時に、何かのあるいは誰かの後押しは最大の味方に違いないだろう。