帽子をかぶると、不登校児息子が笑う。
「似合わないから、やめてくれ😭」と言うのだ。
単身赴任夫は、わたくしのしゃがんだ背中からパンツがはみ出ていようが、
あるいは鼻クソが飛び出していようが関心が無いが、
義母殿へのプレゼントとして服や持ち物を選ぶ際には、実用性と彼女の雰囲気に似合っている事を優先して、きちんと吟味している。
子供にとっての母親には、収まっていて欲しい像があるのかもしれない。
さて。何故にわたくしに帽子が必要なのか?という話しをしてみたい。
白髪が増殖しているのだ。
前髪とコメカミの周辺を中心にめちゃくちゃ増えている。
月に一度の贅沢で白髪染めに美容院に通っていたのだが、ここ2ヶ月ばかりご無沙汰している。
先週など、美容院の待合室のソファで家庭画報を広げた瞬間に
実家父から応援要請電話があり、
慌てて出かけて行った。
母にあらかた任せてしまっている父の介護である。
ままならない身体の父。
報われない介護をする母。
時に互いのストレスがfullになり噛みつきあってしまう。
この日のわだかまりの根源は、なんとなく予測がついていた。
誕生月の父の祝いを、同じく誕生月の妹と母の日に抱き合わせでやったもので、
ケーキです、はい、おめでとう!
の、わかりやすい図柄でやっていなかった。
そんなシケた事は母に言えない父は、誕生月が終わってしまうのに、
キチンと祝ってもらえていない事に対して悲しくなっちゃったんだろうなー。
電車で駆け付けても1時間はかかる実家への道。
息子が不登校になる以前だったら彼の晩飯や習い事の送迎も考えねばならず、
かなりヒヤヒヤしながら向かったものだが、今はその分が軽減されて、
その面では精神的に楽なのだ。
ドラえもんにバランス注射という秘密道具が出てくる。
注射を打つと、良いことがあった分だけ悪いことが起きるという話しで。
なんだかソレみたいだなあー
電車は冷房が効いて過ごしやすいけど、行き先は実家だよ💦
しかも楽しくないし、ってね。
つべこべ思いながら実家に着くなり父に
「ケーキ食べに行こう!ケーキ!」と促した。果たして父は表情をパッと輝かせ
「だったらママも一緒に行かなきゃダメなんだ!」と母の反応を見ていた。
母はヘアスタイルがキマらないし女性は急には出かけられないのよ!と
乗り気ではない。
そこでわたくしは、
息子に不評の帽子をカバンがら取り出し母の頭にかぶせた!
「あら、可愛い❤️似合うわ!」
帽子好きな母は鏡の中の自分の姿にテンションが上がった。
こうしてなんとか親子3人ケーキを食べに行き、
父だけの宛先で「おめでとう」を伝えたのだった。
わたくしは、
母には、いつまでもオシャレで決断力のあるサバサバした人でいて欲しい。
帽子と引き換えに母の像は守れた。
しかし?
わたくしは白髪を隠す帽子と美容院で手当てする機会を失った。
ま、父も大好きなシロノワールを思いきり食べて満足したようだし…。
…ドラえもんのバランス注射を割り当てて考えると、いちいちが関連していてスパイラルである。
あ!父は忙しい店員さんを捕まえて
コメダ珈琲のコメダ、って、なんでカタカナなんですか?なんの意味なんですか?
と、しつこく4歳児並みの質問をして母を激怒させていたっけ💦
その時わたくしは、父の中にもDO Kato!の精神があるなぁと苦笑いしていた。
母の奮闘は今日も続いている。