三月いっぱいで仕事を退職した。
夫は呆れ顔で「また転職なの?」と言い、
一か月だけ扶養に戻して頂戴と願い出たが
「どうせまた働き始めるのだから国民年金と国保に自分で入りなさいよ」と言われ
この日を迎えた。
3月31日21時。
帰りしなに都内で屈指と言われるケアマネージャー氏に息子の現状についてお話しする機会があった。
彼は「そろそろ息子を許して自由にさせてやりなさい。息子が生きているだけで幸せだ、ということを母として嘘のない言葉で伝えてあげて欲しい」と。
それを聞いていたナース氏から
「そうは言ってもね(-_-;)」とLINEが来た。
ようやく仕事を納め保険証を返却して帰宅した晩に歯痛が始まった!
おまけにクシャミと鼻水も止まらない。
花粉症。
仕事の緊張感で堰き止めていた水分という水分が出るわ出るわ・・・。
副鼻腔の腫れが歯茎を刺激し歯痛と頭痛を呼び起こす。
離職票が無い。
保険証がない。
鼻の穴にティッシュで栓をして布団を頭まで被った。
・・・一年と半年。
常勤で勤務したお陰で我が家の財政は危機的な状況を脱したといえる。
その一方で息子のことは、すっかり置き去りにしてしまった。
関われば再び悔しい思いが再燃し、息子にとってキツイことを口走ってしまう。
もう諦めよう、
導けないくせに親になった自分が悪い。
4月1日13時
息子が小学五年生の頃からお世話になっている臨床心理士は
「お母さんとして手を尽くせることは全部やりましたね。親の思い通りに
育たなかった、という喪失感のようなものは否めないでしょうが、子供の思いを受けて伸びやかに育てたという点で百点ですよ」
、と労ってくれた。
、と同時に
息子もいつか、
普通のふつうのフツウの世界に戻ってくれると、頭のどこかで信じていた一縷の望みをぶった切ってくれた。
「就労するにあたって必要なスキルを身に着けるよう強制しても、それを本人が必要と感じ得ない限りは行動しません。」
「合理的な思考で行動する人です。」
「希薄な人間関係の中でもダメージはないでしょう。」
はつらつとした笑顔や友達や後夜祭の恋や青春のなんやかや。
この人の人生に訪れるだろうと思われていた
フツウの場面は、やっぱりやってこないんだ、と。
通信制高校の3年生。17歳の息子である。
4年間のsemi引きこもりを経て今日にいたる。
時を止めてしまった少年の部屋は中学・高校の教科書に紛れて今、夢中になっている地政学の書籍類が積まれている。
殆ど履くことなくサイズアウトとなったトレーニングシューズや柔道着やスパイクをゴミ袋に投げ込みながら息子が
「どうして学校へ通わなくなってしまったんだろう?」とつぶやいた。次いで
「やり直せるなら生まれてくるところからやり直したい」と、
真っすぐにこちらを見据えて言ったもので、ついわたくしも
「親にならないと覚悟を決めて21世紀をやり直したい」と本気で言ってしまったのだった。