不登校息子+親介護+単身赴任夫=思秋期なあたくし。

怒涛のようにやってきた不登校と介護と夫の単身赴任の荒波を、更年期のあたくしがサーフィンする日々の記録です。

ドーナツを買ってあげればよかった

月末は銀行巡りだ。

 

道すがら双子ちゃんを連れたおじいちゃんとすれ違う。

 

かっこいいマスクを着けて颯爽と歩く若いママが、前抱っこの赤ん坊の素足をさすっている。靴下を片方どこかで落としてしまったようだ。

 

大げさにはしゃいで声をあげるパパの顔を見上げながら冷静沈着に歩く男の子。

 

ママお手製だろうか?リュックサックとマスクが揃いの布の女の子。

 

どの子も守られている。

 

「どうして早く言わないの!」

ふいに怒りに満ちた母親の声が聞こえてきた。

「お母さんはこんなのイヤ!おうちを出るときに何度も言ったよね?聞いたよね?大丈夫ってあなた言ったよね?」

詰問されているのは、いやいや、そんな勢いで聞かれたって答えられないよ、というくらい小さな女の子。手をグウに握り、ドーナツ屋の前で足踏みしている・・・。

女の子がんばれ!

と、心のなかでエールを送った矢先、含み笑いがマスクの中で爆裂してしまった!

 

 

その昔、月末の銀行巡りに息子を連れて歩くたびにこの場所でドーナツをねだられた。

ゴールデンチョコレートとダブルチョコレート。

どちらかは選べない、両方食べたい美味しさなのだ。

当時から100円200円を切り詰めて生活していたわたくしには、

ふたっちゅ、ふたっちゅ、と仰け反って駄々をこねる息子にドーナツ二つを与えてやることがはばかられた。なぜこの子は、ひとちゅじゃ足りず、ふたちゅと泣くのか?しかも毎度かよ💦と情けなくなることさえあった。

ふたちゅ、ふたちゅよぉ~っ!

泣きわめく息子を乱暴に小脇に抱えて走り去る自分にも泣けたものだ。

 

あれから干支が一回りもしてしまった。

15歳になった息子はこの春、自宅を出て寮での生活をスタートした。

昨日、入寮して以来はじめて電話がかかってきた。話の内容は

「予定していた額よりも食費にかかってしまうから、牛乳が買えない」・・・と。

それはお困りだろうが、食品をコンビニで購入するのではなく、スーパーマーケットで購入すれば割安。引き続き上手に生活してみてくれたまえ・・・と電話を切った。

 

しかしわたくしとて人の子。そして、親である。

5月の仕送りには色を付けて送金したのだった。

 

息子が住む町にはドーナツ屋が無い。

小さなパン屋さんが一軒あったか。

自分の予算の中からひとつだけ選び取り糧にする術と喜びを、きっと彼も学ぶことだろう・・・。

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今年は5月飾りも出していない。もう出さないのかもしれないなぁ。。。