仕事上がりの帰り道。
あろうことか自転車でコケてしまったわたくし!
車道を走行中、歩道の縁石にタイヤが当たりスリップ。
お他所の敷地内にダイブしてしまったのだ。
それはもう、ド派手に・・・。
膝からは流血。
手のひらを食い破った小石が隆起している。
自転車のチェーンは外れて食い込んで動かない。
あれ?デジャヴみたいだなぁ・・・。
一週間前の記憶がよぎる。
しかし、この日のわたくしには応援を要請できる家族は居なかった。
不登校でいつでも在宅していたはずの息子は既に他県に進学した。
この5年ほど単身赴任中の夫はもちろん不在なのだ。
この上、転倒した勢いで家の鍵が飛び出していたりしたら家にも入れない!
携帯電話
鍵、
財布の所持を確認し、行き交う人の動線の妨げにならぬよう
ゆっくりと立ち上がった。
そして自転車を引きながら家路についた。
途中、降りだした雨の中、コンビニのネオンサインが優しくわたくしをいざなう。
・・・そう?仕方ないな!
泥のついた両手をぬぐい、缶酎ハイとチーズを手に取り購入。
雨合羽を着たまま公園のあずまやを目指し、そこで闇に紛れて一服した。
母の帰りを待つ幼子がいるわけでもなく
夫の帰還に合わせて食卓を彩る義務もない。
あー、今日は晩御飯も作らないぞ!と思い切り伸びをしたとたん、
携帯が鳴った!実家の父からだ。
「どうしたの?」と問えば
「ママが夕飯を作ってくれない」と言う。
そんなわけはないだろう、と思う一方ですでに飲酒してしまったわたくしは
車で実家へ向かい真実を確かめることができない。
転んだ拍子に100パーセント気を抜いてしまったことを悔やみながら父をなだめる。
「パパ、今度崎陽軒のシュウマイ弁当を買っていくよ」
しかし父はこれを強く拒んだ!
「俺はまだ生きるんだ。だからウィルスに感染しているかもしれないお前に来てもらったら困るんだよ」
あー、そうかいっ!
怒りに満ち満ちて電話を切った。そしてため息。のちに深く安堵。
父も息子も夫も、わたくしが居ない日常でも対応していけそうだ!
少しずつ自分の心に耳を澄ましてみよう、そう思った。
もちろん、アルコールの力を借りずに・・・。