袋とじなら、週刊ポストか、アサヒ芸能か?
コンビニに、そんな雑誌を求めに行ったのだが見当たらなかった。
田舎道に夜になると忽然と現れるエロ雑誌自動販売機も、昨今では見当たらなくなった。
さて。どうしたものか・・・。
真相は、こうだ。
父からDVDが再生できなくなった、と電話がかかってきた。
「オレの唯一の趣味の映画鑑賞ができずショックでイライラが止まらない。なんとかしてくれ」と。
父は週に2回のデイサービス通い以外は外出することさえままならな身体。食事とトイレ以外はベッド上でテレビを眺めて過ごす毎日の人だ。
実家に到着すると母の機嫌がすこぶる悪い。
「DVDなぞ、パパは一生観られなくていい」と言う。
「介護の手が必要な分際で、あまりにも酷い」と悔し涙を流し始めたではないか。
何かイヤな予感を感じつつも父の居室でDVDデッキをいじる。
どうも、機材が認識できない素材が挿入されているらしい、ということが判明。
携帯で取説を検索し、いろいろ試しているものの、エラーコードが消えない。
テレビのコンセントを一旦抜き去り、再度通電させた途端に・・・・・・・
村西とおる氏に扮した山田孝之が「ホンバンは世界の常識なんだよ」と言っている予告編を観たことがあるが。
ストーリーがあるなら、まだしも。
そりゃないよ、というくらいに跳ねるベッド上で延々とづづくアンアン映像と音声が爆音で流れ出たのだ。
慌ててボリュームを落とし、デッキからDVDを掻き出すと怪しげな無タイトルの一枚が傷だらけで出てきた。
わたくしはデッキに正規に購入してきた【東京物語】をブチ込み再生ボタンを押し、
「いいよ、オマエ帰っていいぞ。それが観られたらもういいんだ」という父の前で無修正エロエロDVDをゴミ箱に捨てた・・・。
無修正エロエロを父がどうのように入手したのかは遂に判明しなかったが
おおよそ会社時代の悪友に頼んで送付してもらったものだろう。
かつて、ブルーフィルムの時代は紳士が集って秘密裏に映像を観たというではないか。
再生機が家庭のものとなり、さらに個人的なものになり、その文化は絶えてしまったのだろうか・・・。
とにかくエロエロをゲットした父は、昼となく夜となく野放図に映像を眺め観たようだ。そんな父の姿を介護者として母は許せなかった。
父の尊厳を踏み荒らしたくはないが、節度を忘れた父の行為は許しがたい。
父は自由ではない身の上ゆえ、母の嫌がることはしないでもらいたいのだ。
ご近所の手前もあり、せめて爆音はやめてほしいが父は難聴(´;ω;`)
ならば、動画じゃなくてエロ雑誌で手を打ってもらおうと考えたわたくしは
週刊誌を探しに街に出た。
父へ渡した。いや、ポンと汚いものでも投げるように放り投げた、というのが正しいかもしれない。
父はわたくしの気持ちを知ってか知らずか「こんなもん」と憤慨し、
介護ベッド下に投げ去った。
どうしたものか、父のエロ・・・。