庭の夏蜜柑が今年は甘い。
口に含めば、
しょっぱい一年を過ごした私の
筋肉痛みたいな気持ちを鎮静するかのように
果肉のひとつひとつが弾けて広がっていく。
日曜の夕方、
まるでエルマーになった気分で
3つの夏蜜柑を一気食いした。
竜が居れば皮をあげるのだが。
- 作者: ルース・スタイルス・ガネット,ルース・クリスマン・ガネット,渡辺茂男
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1965/09/30
- メディア: 単行本
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去年は雪も多く、まだ実が熟す前にメインの枝が折れてしまった。
餌集めに苦労したのだろう、残された枝に身を寄せた雀が厚い皮を食い破って命を繋いでいた。
同じ頃スタートした息子の不登校に対してヒステリックになっていた私は
黄色い実りを全てもぎ取り
食する事なくコンポストに投げ入れてしまった。
マーマレードも作らなかった。
マーマレードどころか炊飯もしなくなってしまった。
食育とかバランスとか筋肉とか考えながら飯炊きしてきた事の意味がわからなくなってしまったから。
雀も意地の悪い家主の庭には
やって来なくなってしまった。
ホッペタを黒くして
コマ落としのように動く雀。
丸いホッペタをして黄色い長靴を履いて庭でオニギリを頬張っていた小さな息子。
可愛かったなー。
過ぎ去った時間は二度と取り戻せない。
しかし確実に夏蜜柑は一年を経て勢いを取り戻したことを
さわやかな酸味と例年に増した甘さで口腔に主張してきた。
夏蜜柑の精が居るなら謝ります💦
去年はごめんなさい!
雀にもごめんなさい!
さて。私はどうしよう。
どうしてくれよう?
そうだ。明日の朝はさらに3つ夏蜜柑を食べてみよう。
皮は竜が居ないからマーマレードにしてみよう。
それから…